■ 採卵の準備は想像以上にハード|自己注射のプレッシャー
体外受精に進むと決めてから、
最初に立ちはだかった大きなステップが
“採卵(卵子を取り出すこと)” でした。
治療を始める前、
採卵についての知識が浅かった私は、
ママ「毎月の排卵に合わせて、
今ある卵子をサッと取るだけやろ〜?」
くらいの軽いイメージでいました。
ところが、クリニックで治療計画の
説明を受けてびっくり。
採卵では、
1回の治療で
妊娠の確率を最大限に高めるため、
できるだけ多くの成熟した
卵子を一度に育てる
「卵巣刺激」 を行う必要があるのです。
そして、
卵巣を刺激して
たくさんの卵胞を育てるために
処方されたのが……なんと
「毎日の自己注射」でした。
自分の手で、自分のお腹に針を刺す。
普段は看護師として
毎日のように患者さんに
注射や採血をしている私ですが、
「自分のお腹に針を刺す」というのは
人生で初めての経験でした。
「針の扱いや手技はわかっているはずなのに、
いざ自分に向けるとなると別物…」
正直、最初の1本目は
手が震えるほどドキドキしました。
私が処方された薬は ゴナールエフ皮下注ペン。
ダイヤルを回して投与量を設定し、
採卵の2日前まで毎日決まった時間にお腹に注射を
打ち続けました。
自己注射期間中は、
身体のしんどさに加えて
強烈なプレッシャーがつきまといます。
採卵前に自力で勝手に
排卵(早期排卵)してしまうと、
その周期の採卵自体が
中止になってしまうからです。



「どうか…採卵日当日まで勝手に排卵しませんように…!」
毎晩、お腹をつまんで深呼吸しながら、
祈るような思いで針を刺していました(笑)。
皮下注射の針自体はとても細く、
採血の針に比べれば痛みは少ないはず。
それなのに、自分で自分の皮膚に
針を押し込む瞬間は、
なんとも言えない鈍い痛みと
心理的な恐怖がありました。



「なんで痛い思いや怖い思いをするのは、
いつも女性側ばっかりなんや〜!」
と、痛みに耐えかねて
ブツブツ愚痴を言いながら、
パパには毎晩すぐ横で
見守ってもらっていました(笑)。
針を刺す瞬間に手を握ってくれたり、



「今日も頑張ったね」
と声をかけてくれたパパの存在には、
本当に救われました。
■ 採卵日は絶対にズラせない|日程のプレッシャー
自己注射と並行して、
卵胞の育ち具合を確認するために
数日おきの頻繁な通院
(超音波エコー検査と血液検査)
が始まります。
卵胞がベストな大きさに
育ったタイミングを見極めて
「採卵日」が決定するのですが
それに合わせて排卵を促す
トリガー注射(hCG注射や点鼻薬)に時間が
「夜の◯時◯分ジャスト」と
分単位で厳密に指定されます。
つまり、
採卵日はこちらの都合で
絶対に変更できないのです。
これがまた、日々の生活において
凄まじいプレッシャーでした。



「絶対熱を出せない…
インフルやコロナにかかったら全部キャンセルになる…
体調崩しませんように…!」
毎日の手洗いうがいはもちろん、
人混みを避け、食事や睡眠にも
神経をとがらせながら過ごす日々。
「この日を逃したら
今までの注射も費用も全部やり直しになる」
という緊張感で、
心休まる日はありませんでした。
■ 働きながらの不妊治療は本当に大変
採卵までの準備期間は、
肉体的にも精神的にも
想像以上にハードでした。
特に痛感したのが、
働きながら頻繁に通院することの難しさです。
私はシフト制の仕事で、
当時は夜勤もこなしていました。
卵胞の成長スピードに合わせて急に決まる通院日の調整
夜勤明けのフラフラな体のまま、車を1時間走らせて通院
採卵日が急に確定し、直前でシフトの交代をお願いしなければいけないプレッシャー
「明日また診察に来てください」
「採卵は明後日の朝です」
と急に言われる世界。
自分の身体のことなのに
先の予定がまったく読めず、
本当にしんどい時期がありました。



「カレンダー通りの平日5日勤の会社員の人や、
融通が利きにくい職場の人は、一体どうやって両立してるん…?」
と本気で疑問に思ってしまうほど、
スケジュール調整の壁は高かったです。
幸いにも、私は
体外受精に進むタイミングで、
直属の上司へ
「不妊治療を始めるため、
急な休みやシフト変更をお願いするかもしれない」と
事前に正直に相談していました。
その上司自身が
3児の母であり、女性の体や妊活の大変さに
とても深い理解がある方で、
「体調を最優先にして、
無理せずいつでも相談してね!」と
全面的に応援してくれたのです。
この上司の温かい言葉と理解がなければ、
私は治療を続けられなかったかもしれません。
■ 不妊治療と仕事の両立の壁|周囲に言えないつらさ
不妊治療には高額なお金がかかります。
だからこそ、
治療費を稼ぐために仕事を辞めるわけにはいかず、
働き続けなければいけません。
でも、もし職場の理解が得られなかったり、
人間関係の都合で治療のことを
オープンに話せない環境だったとしたら…。
「治療を続けるために、仕事を諦めて辞めざるを
得ない人もたくさんいるんじゃないか」
実際に自分が当事者になってみて、
その厳しい現実に強く気づかされました。
・周囲に相談できない、言いづらい孤独感
・自分の都合で日程を動かせないシビアな治療スケジュール
・終わりの見えない頻繁な病院
・重くのしかかる金銭的負担
妊活・不妊治療を経験して、
世の中で叫ばれている
“仕事と不妊治療の両立の壁”がいかに高く、
過酷なものかを身をもって痛感しました。
だからこそ、快くシフトを調整して
背中を押してくれた理解ある上司や
職場の仲間には、今でも心から感謝しています。
周りのサポートとパパの支えを受け、
お腹のはりと痛みに耐えながら
注射を打ち切った私。
次はいよいよ、静脈麻酔を使って
卵子を採取する「採卵当日」の
運命の瞬間を迎えます。










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